都市伝説のようなスイーツ
常設の店舗も無く、通販も無いのにひと度売り出せば瞬く間に売れてしまう、殆ど”都市伝説”の様なスイーツブランドが存在します。
瀧島 誠士さんが2021年1月に立ち上げたチェコレートブランド『Seiste(セイスト)』です。
チェコレートだけでは無く、クッキーや他の洋菓子も扱っています。
瀧島さんは圧倒的な実力と実績を持つショコラティエ、パティシエの方なのですが、店舗を持たずに常設の通販サイトも無いという、殆どブラックジャックの様な形で仕事をされています。
店舗実績が無いにも関わらず、三越や松屋銀座など一流百貨店の催事では常に一等地の売り場を提供される待遇を受け、出店すれば殆ど情報もないのに行列ができる人気を誇ります。
今回はそんな幻のブランドSeisteを紹介します。
世界大会1位の経歴
Seisteを展開する瀧島 誠士さんは帝国ホテルでキャリアをスタートさせ、フランス国家最優秀職人章(MOF)保持者であるアルノーラエール氏の日本店舗アルノーラエール ジャポンのシェフなどを経験しています。
国内外の数々の権威あるコンクールで多くの賞を受賞しています。
2014年にはパリで行われた国際製菓コンクール『ルレ・デセール・シャルル・プルースト』で総合2位を獲得しています。
更に2019年にはイタリアで開催された『The World Trophy of Pastry Ice Cream And Chocolate FIPGC 2019』で日本チームのキャプテン(ショコラ担当)を務め見事世界1位を獲得しています。
2020年2月からはスイーツと食器をセットにして全国に届ける「LikeSweetsBOX」の総合監修に就任しています。
Seiste(セイスト)
瀧島さんは2021年1月に自身がプロデュースする初のチョコレートブランドとして「Seiste(セイスト)」を立ち上げます。
大量生産はせずに食材にこだわって丁寧に創ったものを提供して行こうというブランドです。
実店舗を持たず、渋谷スクランブルスクエアと松屋銀座の催事への出店という形で始まりました。
催事出店先の通販サイトに載る事はあっても自前の通販サイトはありません。
最初はチョコレート中心の品揃えでしたが、次第に幅を広げ焼き菓子なども増えてきました。
無店舗で実績も無いブランドの有力百貨店への出店自体が異例の事ですが、その後も伊勢丹フランス展(新宿)や銀座三越、三越本店など一流百貨店を中心とした催事への出店が相次ぎます。
出店を重ねる毎にその美味しさが口コミ、SNSで伝わり、人気となるまで時間は掛かりませんでした。
その中でも人気を集めたのがクッキー缶「Journey(ジャーニー)」です。
催事でも毎日は出されず、出ると真っ先に売り切れてしまうこのクッキー缶を求める人が相次ぐ事になりました。
スコーンパーティ
2022年3月2日から7日まで銀座三越の新館で開催されたスコーンと英国式の菓子を軸にした催事「スコーンパーティー with TEA」にSeisteが出店すると聞き、催事を訪れる事にしました。
休日の午前中で三越新館の各フロアはまだ閑散としており、これなら楽勝かなと思ったのですが、催事場のある7階に上がるとたくさんの人がフロアを行き来していました。
スコーンパーティ・イベントの盛り上がりを全く読み違っておりました。
エスカレーターを上がって直ぐの所にSeisteの行列最後尾の看板が立っていたので迷わずそこに並びます。
クッキー缶は初日の早い段階で売り切れていた様で断念、代わりにSeisteのスコーンセットとフィナンシェを購入しました。
因みにこの日は午後のかなり早い時間でSeisteの全ての商品が売り切れになっていました。
スコーンアソートカップオブティー
スコーンアソートカップオブティーはクリームをスコーンで挟んだものが3つ入ったセットです。
・アーモンド×ショコラ×バニラ
・ヘーゼルナッツ×シトロンプラリネ
・マサ×キャラメルポップコーン
クリームは3つとも違っており、生地もクリームに合わせて変えていました。
どの組み合わせも抜群のバランスで外れが無く、美味しい食べ比べができました。
また先入観無く購入したフィナンシェも絶品です。
フィナンシェの周りをチェコレートでコーティングしてある一品なのですが、一口で上質と直ぐにわかるチェコレートが来て、更に中の生地がチェコに負けない存在感を出しています。
お酒に浸してこの感じをつくるケーキは見かけますが、お酒は使っておらず初めて経験する美味しさでした。
とにかく美味しいです。
ますますクッキー缶が気になります。
三越本店に出店
チャンスは直ぐにやってきました。
3月16日から20日に三越百貨店の日本橋本店でSeisteの期間限定ストアが出店されるという情報を得て、再度チャレンジする事にしました。
そもそも情報が少ない中、クッキー缶は16日と19日に販売 される事が分かり狙いを定めます。
ところが16日にはあえなく玉砕、店員さんに尋ねると「今朝は凄かったので次も午後までは無いかと…」との話でした。
19日の土曜日、開店を少し回った頃に三越本店に付くとSeisteの周りには既に数十人ものうねる様な列が出来ています。
最後尾にはスタッフが立っていて並ぼうとすると「申し訳ありませんが、御希望の商品が購入できない可能性もありますので御了承下さい」と告げられます。
しまった!と出遅れを後悔しながらも気を取り直して最後尾に並びます。
先頭を見るとお客さんはほぼもれなくクッキー缶を注文しています。
2缶、3缶と購入する人も多く(1人3缶迄だと後で分かりました)、ハラハラしながら列が進むのを待つ事しかできません。
まずクッキー缶を押さえて更にフィナンシェやマカロンなど他の商品も1つずつ購入という人が目立ちます。皆さんリッチなお姉さま方です。
クッキー缶の販売予定数は100缶。行列からは死角になっていていくつ缶が残っているか見えないので最後までドキドキしましたが、残り僅かという所で無事順番が回ってきました。
迷わずクッキー缶を購入します。
Journey(ジャーニー)
クッキー缶「Journey(ジャーニー)」はセンスの良いホワイト缶に5種類のクッキーが詰められています。
・バニラ(Vanille)
・ヴィニエーズ(Viennese)
・アマゾンペカン(Amazon pecan)
・ティンクリスピーチョコレート(Thin crispy chocolat)
・マカダミア(Macadamia)
最近ではクッキー缶がちょっとしたブームになっていて新作も続々と生まれています。
見た目の美しさという事であればJourneyより映えるクッキー缶もあると思いますが、味という点ではJourneyはちょっと抜けていて、滅多にないくらいの美味しいクッキーと言ってよいと思います。
どのクッキーも繊細で深みのある味で、風味豊かです。
5種類のクッキーの内3つはチョコレート系なのですが、味も食感も変化があって全くくどくありません。
個人的な意見ですがオーボンヴュータン(Au Bon Vieux Temps)やテッカベッカライなどの既に評価の固まっている一級品と比べても引けをとらないレベルと言って良いと思います。
出店情報を手に入れるには
Seisteのスイーツはどれを食べても美味しく、繊細です。
あまり奇をてらわないシンプルな外見の中に素晴らしい技術が詰め込まれています。
チャンスがあったら是非食べて見て頂きたいです。
基本的には瀧島さんのSNSをチェックしておくと、直前に出店が発信されるのでそれを頼りにして行くか、三越伊勢丹や松屋銀座などの催事をチェックして網を張っておくと出店情報に辿り着けるかもしれません。
以前は催事の時は主催する百貨店のオンライン販売でも購入できたりしたのですが、最近はそれも無くなりつつある様です。
やっぱり「都市伝説」の様ですね。
information
■ブランド Seiste(セイスト)
■店舗住所 店舗無し
■アクセス 店舗無し
■ホームページ(瀧島 誠士氏)
■インスタグラム(瀧島 誠士氏)
*2022.3.20.時点の情報です。情勢により変更になることがあります。
コメント